トランジスタ技術2019年12月号 『CPLDでデジタルロジック超入門』レビュー

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今回は、技術雑誌『トランジスタ技術』の2019年12月号の紹介です。
もうすでに2020年1月号が発売されているのですが、今回は、ずっと書きたいと思っていた前号の紹介記事を書きたいと思います。

2019年12月号の特集は『74ロジックで入門!FPGA X RISC-V開発DVD』です。
74シリーズのICを使ってデジタル回路の制作・学習を行う特集となります。

実は、特集タイトルにはFPGAとありますが、メインはCPLDを使用しています。FPGAは『特別企画』の記事で取り上げられていました。
FPGAではなく、CPLDを選んだ理由は「安価で入手しやすい」「開発ツールが使いやすい」「電源ONで即動作」なので、ビギナーが扱いやすいからとのことです。
また、タイトルにある"RISC-V"も『特別企画』(27頁弱)でのみ取り上げられていました。
特集のタイトルがちょっと紛らわしく分かりにくい気がします。

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特集『74シリーズで始めるフルデジタル電子工作』

特集記事では、1部・2部・特別企画の3構成で書かれています。
1部で諸々の準備を行い、2部では74シリーズICを使って実際にデジタル回路を制作します。そして最後に、特別企画でFPGAを使ったRISC-V開発を行います。

第1部『準備編』:ツールと基板の準備

第1部では、TTLやCPLD、FPGAの歴史や設計手法を学び、第2部への準備として、開発ツール『Quartus Prime Lite』のセットアップと簡単な使い方、トレーニング基板の制作を行います。
ですが、このトレーニング基板、回路図は明記されていますが、実際に試すにはキットを買わないと難しそうですね。
しかも、キットは3種類(MAX5-TG2、TG3、TG4)あるし…
キットを売ろうとする意図が見え隠れするような、しないような……
けど、蛍光表示管(LD8035E)が使われるTG4は面白そうではありますね。ちょっと欲しいなぁ〜
ニキシー管とかこういった表示器ってなんかワクワクします。 しませんか?
そのうち、部品を集めて自作してみたいなぁ〜とは思っています…そのうち…ね。

第2部『制作編』:6種の回路の制作

第2部では実際に6つの回路を制作して行きます。

第1章 16進カウントアップ・インジケータ

第1章 16進カウントアップ・インジケータ
第1章 16進カウントアップ・インジケータ

バイナリカウンタIC(74393)を3個使って、4秒周期の16進カウンタを作ります。
水晶発信器の4MHzをカウンタで分周して行き、6段目の出力をLEDで点滅させています。

第2章 7セグメントLED点灯制御

第2章 7セグメントLED点灯制御
第2章 7セグメントLED点灯制御

16進カウントアップ・インジケータに”10進カウンタ”と”7セグデコーダ”を追加して、00-99までカウントアップする回路を作ります。
わざと(?)マルチプレクサを使って、上位桁と下位桁の表示を交互に行なっているのが面白いです。

第3章 カウンタとDーAコンバータでの波形出力

第3章 カウンタとDーAコンバータでの波形出力
第3章 カウンタとDーAコンバータでの波形出力

74ロジックで作ったバイナリ値をD-Aコンバータに入れて三角波を作ります。
ノコギリ波ではなく、三角波を作っているのがミソですね。
そのために、わざわざ『アップ・ダウン・バイナリカウンタ』を使う回路になっています。
アナログ値の出力なので、CPLDの他にD-Aコンバータ(とアンプ)が外付けで必要な回路です。

第4章 1Hz〜20MHzの8桁周波数カウンタ

第4章 1Hz〜20MHzの8桁周波数カウンタ
第4章 1Hz〜20MHzの8桁周波数カウンタ

1Hz分解能で20MHzまでの周波数を測定&7セグ表示する回路です。
なんだか、回路構成の難易度がここで一気に上がった気がします。
ですが、仕組みとしては1秒間カウンタを動かして、結果を表示させるだけです。シンプルではありますね。

第5章 ミニチュア蛍光表示管デジタル時計

第5章 ミニチュア蛍光表示管デジタル時計
第5章 ミニチュア蛍光表示管デジタル時計

蛍光表示管を使ったデジタル時計を作ります。
仕組みはシンプルで、1秒のパルスを作って60進カウンタ2つと24進カウンタ1つに入力させるだけ。
あとは、表示部分が今までの7セグから、蛍光表示管に変わったくらいです。
今回の6つの回路のうちで最も見た目がワクワクする回路ですね。ただ、消費電力は少し大きそうです。

第6章 分解能1Hzの正弦波デジタル・シンセサイザDDS

第6章 分解能1Hzの正弦波デジタル・シンセサイザDDS
第6章 分解能1Hzの正弦波デジタル・シンセサイザDDS

1Hz〜2kHzくらいまでの正弦波を出力する回路を作ります。
ここでまた1段レベルが上がります。このレベルになると簡単には説明できなくなりますね。
正弦波データは、20ビットの増し分レジスタ・積算器・積算レジスタとROMで生成します。
始めは正弦波をどうやって作っているのか分からなかったのですが、
ROMに512分割した正弦波データを持たせていて、そのデータをレジスタでアドレス指定して読み出しています。なるほど〜

『特別企画』:FPGAキットでRISC-V開発

『特別企画』:FPGAキットでRISC-V開発
『特別企画』:FPGAキットでRISC-V開発

FPGAを使ってRISC-Vのコンピュータの製作を行います。
と言っても、全てを細かく説明している訳ではなく、大まかに実装手順の紹介となります。
RISC-Vを細かく説明していたら、それだけですごい分量になってしまいますからね。
回路図なども明確に示されていないので、この記事だけでちゃんと実装可能かは少し微妙かもしれません。

おわりに

以上、簡単な紹介でした。
今後も不定期に、気になった書籍や雑誌のレビューをしていこうと思います。
あと、今回の特集にあった74シリーズICやPICマイコン、H8マイコンなどのハード的な分野についても色々記事にしてみたいなと思います。
これから、徐々に色々な分野の記事を書いて行きますので、宜しくお願いしますね。

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